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煮ごめ

  • 広島県 JA広島市 レディースクラブ(広島県広島市)
  • 2025年10月

ほのかな甘みで冷めてもおいしい

煮ごめ

親鸞聖人の命日の前日に食べる精進料理でした。
アズキを入れるのが特徴で今では行事食だけでなく
郷土料理としても地域で愛されています。

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 広島県の西部、かつて「安芸国」と呼ばれていた地方では昔から、浄土真宗をあつく信仰する人々がおおぜい暮らしています。その門徒の間で生まれたのが「煮ごめ」です。
「煮ごめは〝おたんや〟のときに作るんです」
 と教えてくれたのは、JA広島市レディースクラブ副会長の藤本喜代子さん(81)。
「おたんや(御逮夜)」とは、親鸞聖人の命日である一月十六日の前日のことを言い ます。煮ごめは、親鸞聖人に一晩中付き添い、看病していた弟子たちが食べた料理が始まり、と言われています。
 とくに県西部で食べられており、最近では行事食としてだけでなく、郷土料理としての人気も高まっています。
「こないだも家族で食べた」
「わたしは子どもの頃から作るのを手伝ってましたよ」
「昔は、かまどで温め直しながら何日も食べてたわ」
 と、懐かしそうに話すレディースクラブ本部役員のみなさん。
 精進料理のため、肉と魚は使いません。逆に、なくてはならないのがアズキです。親鸞聖人が大好きだったというのがその理由ですが、広島では田んぼの畦で作るなど、昔から身近な作物でもありました。しかもアズキを入れることで、うまみもアップします。
 ほのかな甘みを感じるおいしいだしが、温め直すたびに材料にしみこみ「冷めてもおいしい」と言います。

語らいながら食べる料理

「親鸞聖人をしのぶ法要後に、みんなでいろいろな話をしながら食べるの。だから、おたんやは、とっても楽しい一日になるんです」
 と、藤本さんはにっこりしながら話します。
 地域によっては、正月飾りなどを燃やす「とんど祭り」のときも、大鍋で煮ごめを作り、住民が語らいながら食べるのだとか。この地方にとって、煮ごめは、人と人をつなぐ料理でもあるのです。

 一方、JA広島市管内では、都市化の影響が広がっています。そんななか、レディースクラブでは、大学や公民館と協力し、国産のダイズを使ったみそ造り教室や、「家の光料理カード」を使った料理教室を開催しています。
「幼稚園児の保護者など、若い世代の人たちにもすごく好評です。これからは、煮ごめなどの郷土料理を通じ、交流を深める活動にも取り組んでいきたいですね」
 と、意気込むレディースクラブ会長の安部紀恵さん(70)。都市化が進む地域だからこそ、自分たちにできることを、模索し続けるみなさんです。

煮ごめ」の作り方

材料(12人分)

  • アズキ  2カップ
  • ゴボウ  2本
  • ニンジン  2本
  • ダイコン  1本
  • サトイモ  20個
  • 干しシイタケ(水でもどす) 12枚
  • こんにゃく  2枚
  • 油揚げ  4枚
  • だし汁  5〜6カップ
  • 砂糖・みりん・しょうゆ   各1カップ弱

❶アズキと、たっぷりの水を入れて火にかける。少しやわらかくなるまで30分ほどゆでる。

❷ ゴボウ、ニンジン、ダイコン、サトイモの皮をむき、5~10mm角に切る。もどした干しシイタケも5~10mm角に切る。

❸ こんにゃくは5~10mm角に切り、下ゆでする。油揚げは5~10mm角に切る。

❹ ②と③の材料を鍋に入れ、だし汁、調味料を加えて中火で30分ほど煮る。最後にアズキを湯切りしてから加え、全体がやわらかくなったら味をみて完成。

おいしく
腹もちもいいの

文/茂島信一 写真/下曽山弓子

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