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新規就農や作物転換を支援「育成塾」

  • 青森県 JA十和田おいらせ(青森県十和田市)
  • 2025年10月

新規就農や作物転換を支援「育成塾」

ナガイモやニンニク、ピーマンなどの五品目で「育成塾」を展開するJA十和田おいらせ。
生産者の増加、経営の刷新・安定に向けて汗を流しています。

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「ポイントは整枝。日が当たるよう細い枝は取るけど、取りすぎると実が日焼けするので、そこをかげんしながら」
 ジリジリと照りつける日ざしの下、勢いよく伸びた枝葉を手に取りながらの巡回指導は続きます。葉陰に実るのは、生育最盛期を迎えたピーマン。ここJA十和田おいらせでは近年、販売単価が順調に推移してきた作目です。
 JAでは平成二十四年から、新規就農者や後継者育成に向けた「育成塾」事業をスタート。地域特産のナガイモを手始めに、現在はニンニク、ゴボウ、ネギ、ピーマンの五品目で展開しています。
 なかでも受講者が増えているのが「ピーマン育成塾」。巡回指導するJA藤坂支店営農経済課・課長補佐の古川麻衣子さんは「小さい面積でスタートでき、軽量で作業しやすい」と理由を説明します。
 加えて異常気象により、栽培が難しくなったハウスイチゴからの転作希望が増加。既存農業者の経営の刷新・安定にもつながっています。

学びたい人はいつでも参加可

 育成塾の特徴は、従来の講習会や巡回指導に加え、「達人」と呼ばれるベテラン農業者の圃場で実際の栽培方法を見て学ぶこと。とくにピーマンは定植後の枝葉の誘引が重要で、五月には誘引ネット展張の講座を開催。管内から約三十人が参加し、技術を習得しました。
「育成塾で指導するのはピーマン栽培の基礎ですが、達人による講習のほか、県の新規就農者のための研修もあり、専門的知識も身に付けられます」
 古川さんは話します。
 この日、巡回指導を受けていた田中琴恵さん(44)は、就農二年めのピーマン農家。実家では米やニンニクを生産していますが、県の新規就農支援制度を活用して独立就農しました。

「ピーマンは両親も栽培経験がなく、講習会に参加して先輩の圃場をまねすることから始めました。実際に見て、学べるのがいいと思います」
 熱心に取り組む田中さんにとって、指導員の古川さんは頼りになる存在。わからないことはメールで、すぐに返信があるのが心強いと続けます。
 現在、育成塾の塾生は四十五人。年代は三十~七十代と幅広く、女性農業者も十人以上が参加しています。

「ピーマンは女性や高齢農家にとって有望な作物です。JA管内ではベテラン生産者が多く、熱意を持って取り組んでいます。ピーマン育成塾は新規就農の生産者だけでなく、作物転換を考えている生産者など、学びたい人はいつでも参加できるんです」
 そう話す古川さん。ここ青森県でも近年の猛暑により、栽培状況は刻々と変化。育成塾は、新規就農者や担い手を全力でサポートすることに加え、年代や経験に関係ない生産者の「学びの場」としても、機能しているようです。

文=井上宏美 写真=鈴木加寿彦

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