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今風に楽しむ 身近なSDGs着物リメイク

  • 奈良県 JAならけん女性部(奈良県橿原市)
  • 2025年9月

今風に楽しむ 身近なSDGs着物リメイク

嫁入り道具の反物や家族が着ていた羽織など思い出の懐かしい着物がシャツやコートに変身!
〝おしゃれ談議〟が弾むSDGsな着物リメイク。どんな活動なのでしょう。

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 奈良盆地の南に位置する奈良県橿原市。「日本国はじまりの地」ともいわれ、至るところに都(藤原京)の史跡が残るだけでなく、江戸初期からの古い街並みが現存します。
 そんな歴史を誇る橿原地域のJAならけん金橋支店では、橿原・御所・高市地区の女性部メンバーが着物をリメイクする「リフォーム教室」を開催していました。
 十五人ほどのメンバーが、持ってきた着物を長机に広げて「これ昔、母にもらった着物やねん」「ええね、ワンピースにするん?」と、挨拶がてらの〝おしゃれ談議〟に花が咲きます。話しながらの準備を終えると、それぞれがリメイク作業に取りかかります。
「岸田さんの大島紬コートはおしゃれにできたね。ゆったりした幅で作ったから、着心地もいいでしょう。袖をちょっと折ってもかっこいい」
「前川さんのカットソーは、胸のあたりを少し絞ると今っぽい雰囲気になるよ」
 教室を歩きまわって参加メンバーに声をかけていくのは、女性部の一員で、講師も務める米田順子さん(76)です。

 JAならけん橿原・御所・高市地区の女性部では、たんすに眠る着物や反物を活用したいという声が高まり、十数年前から月一回のリフォーム教室を始めました。
 というのも、伝統やしきたりを重んじる奈良の結婚式は、日本有数の豪華さ。かつては嫁入り道具に、たんす一さお分の着物がふつうでした。しかし時代とともに着る機会は減り、リフォーム教室のメンバーの多くも〝たんすの肥やし〟に困っていたそう。
 当初は少人数の活動でしたが、今では地区で三十五人ものメンバーが参加をするほどの人気ぶりです。
 JAならけん金橋支店金橋支部・女性部部長の浦島邦子さん(73)は、以前から米田さんの自宅で着物リメイクを教わっていました。初代講師の引退後、米田さんを講師にスカウトしたのです。
「洋裁、和裁、着付けの知識と経験が豊富な米田さんの話は、メンバーにもわかりやすいと大好評。教室への参加が目的で女性部に加入した人もいて、女性部の活性化につながるありがたい存在です」

作る楽しさ着る楽しさ

 参加する女性部のメンバーは、着物リメイクやこの活動を、どんなふうに楽しんでいるのでしょうか?
「一度も着ていない嫁入り道具の着物を洋服にして、今では大活躍です」「母の懐かしい着物でブラウスを作って、着るたびに母を思い出します」「リメイク服で外出するのが楽しみ」など、さまざまな声が上がります。
 メンバーが作りたい服を仕立てるなかで米田さんは、そこにふだん使いできるような工夫やアイデアを盛り込みます。それは、作る楽しさだけでなく、着る楽しさも実感してほしいからです。
「日々の暮らしに取り入れやすいデザインを、アドバイスします。コートならフードを付けたりね。シルクやウールなど、天然素材の着物地は着心地もいい。着ることのなかった着物で作る服だからこそ、毎日のように着て楽しんでほしいです」

 また、メンバーの作品を多くの人に見てもらうために、定期的に発表会を実施。今年一月の「JAならけん家の光大会」では、リメイクした服を身にまとったメンバーが、舞台でのファッションショーに挑戦しました。
「地区の発表会では、JAの職員にもモデルになってもらいました。作った服でおしゃれする喜びを、メンバーに感じてもらいたい。発表の場があることは、やりがいにもなっています。これは女性部活動のよい点ですね」
 と、米田さん。
 古い着物を新たな服、かばんに再生させるリフォーム教室は、女性部で取り組むSDGs活動にもつながる、と浦島さんは締めくくります。
「わたしたちは伝統、しきたりをだいじにするなかで、物をたいせつにすることが身に付いています。思い出の着物を生かし、今の暮らしに合った服や小物として楽しむことは身近なSDGs。社会的に意義のある活動として、今後も守り立てていきたいです」

文=森 ゆきこ 写真=前田博史

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