地域にエール!

うどんがつなぐ縁で地域を笑顔にする

  • 島根県 JAしまね 神西女性部(島根県出雲市)
  • 2025年11月

うどんがつなぐ縁で地域を笑顔にする

笑にょば会

うどん、ひとすじ十四年! 女性部の有志が集まり手打ちうどんを作り腕を磨いています。
活動は地域を巻き込み人と人をつないでいます。

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「そげそげ(そうそう)、上手」「こげこげ(こうやってね)」 
 子どもたちが小さな手で生地をギュッギュッとこねる様子をそばで見守り、ときに鮮やかな手つきで見本となる女性たち。小麦粉に塩水を回し入れ、もんでまとめた生地を袋に入れて待つこと数十分。 
 さらに足で踏み、白木の打ち台で伸ばし、包丁で均一な太さに切ると生麺が完成。グツグツと沸騰した湯にこれを放つと、つややかな透明感のある玄人はだしの〝うどん〟が、ゆであがりました。

「わたしたちは、うどんひとすじ十四年めです」
 笑顔でそう自信を見せるのは、JAしまね神西女性部「笑にょば会」会長の布野富枝さん(76)。平成二十四年、布野さんが中心メンバーの一人となり、おいしいうどんを打つことを目的として結成された会です。
「えにょば」とは、出雲地方の方言で「すてきな女性」を意味するほめ言葉。とはいえ、自分たちでそう名乗るのは気が引けたため、笑顔いっぱいの楽しい会にしようと「笑」の字を当てはめた、と布野さんは説明します。
 活動日は月一回。毎月第三水曜に集まり、活動の柱である手打ちうどんのほか『家の光』のレシピを基に、料理を一品作って腕を磨いています。この日の活動では、地域の親子を対象に「手打ちうどん教室」を同時に開催。参加した親子は調理室の床に広げたござの上で、メンバーの指導を受けながら楽しそうに、うどん打ちに挑戦しました。

 打ちたて、ゆでたてのうどんは、参加親子に大好評。自分で打ったうどんを一口食べた小学生の男の子は「うますぎる!」と瞳を輝かせてほおばり、「ふだん食べているうどんとぜんぜん違います。ほんとうにおいしい。うちの子がこんなに食べるなんて」と驚く母親もいました。
 笑にょば会のうどんのおいしさの秘訣は、生地のもみぐあい。気温や湿度によって、生地が柔らかくなりすぎないように、水の量をかげんし、手だけでなく腹筋も使って力強くもみます。手に水を付けて水分量を微調整し、よく生地をもむことがコツ。しっかりとした〝こし〟のあるうどんになります。
 毎回の活動で、メンバーが一番の楽しみにしているのが、生地をねかせるあいだの待ち時間です。持ち寄った手作り菓子、漬け物などのお茶請けをつまみながら、家族のことや料理のことなど、他愛のない話題でいつも盛り上がります。

子ども食堂で腕をふるう

 布野さんがこれまでの活動を振り返って印象に残っているのは、新型コロナウイルスの感染が拡大した令和二年に活動の自粛を余儀なくされたこと。笑にょば会も活動を休止していましたが、数か月後にはメンバーからの要望を受けて再開した、と布野さんは説明します。
「当時はみんな人と会うことをなるべく避けていたでしょう。でも、つまらん、つまらんって、みんなから声が上がったもんで(笑)。やっぱり出らないけんわって、活動休止から3か月めには再開することを決断しました」
 笑にょば会はただのうどん教室ではなく、みんなでにぎやかに笑い合う場所。ここでの時間が自分の楽しみであり、活力にもなっていることを改めて再認識させられた、と布野さんは言います。

 近年はJAしまね出雲地区本部女性部事務局からの紹介で、子ども食堂の活動にもメンバーの数人がボランティアで腕をふるっています。子ども食堂を運営する若いスタッフや、参加する親子と関わることも励みになっている、と布野さんは続けます。
「若い人や子どもたちにうどん作りを伝えることは、わたしたちにとっても楽しみ。若い人たちに頼りにされて、子どもたちが『おいしい』って笑顔でたくさん食べてくれると、やりがいを感じます。メンバーで支え合って、この活動を長く続けていきたいと思います」
 みんなが喜んでくれることをいろいろ考えることが好き、と少し照れて笑う布野さん。笑顔いっぱいのメンバーと力を合わせて「うどんがつなぐ縁」を広げています。

文=加藤恭子 写真=前田博史

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