大地のおくりもの

しろいしれんこん

  • 佐賀県 JAさが 白石地区蓮根部会(佐賀県白石町)
  • 2026年1月

有明海由来の泥がおいしさを育む

しろいしれんこん

全国2位のレンコン収穫量を誇る佐賀県。
最大の産地である白石町では、干拓地の利を生かして
“味”で勝負することにこだわっています。

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 佐賀県の中南部、有明海沿岸に広がる白石町。この地域で育まれる「しろいしれんこん」の特長は、なんといっても味のよさにある。
「夏はシャキシャキして、ナシみたい。冬はホクホクして、おイモみたいと言われます。おいしさは、他とはちょっと違うのかなと思います」
 そう胸を張るのは、JAさが白石地区蓮根部会部会長の小野充さん(50)。その秘密は特別な泥にあるという。
「この辺りはもともと干拓された土地なので、泥に有明海の豊富な栄養が含まれています。しかも、かなりきめ細かいんですよ。素手で触ったら、指紋に入り込んでなかなか取れないほど。だから、筋張らない、食感のいいレンコンが育つんです」
 栽培の過程においても、とことん味にこだわっている。
「収穫の一週間ほど前に葉を刈り取ると、レンコンの色が白くなるのですが、あえて、収穫直前まで葉を残すことにしています。ギリギリまで酸素と栄養を取り込むことで、レンコンにうまみが加わっていくんです」
 さらに、市場へ送り出す直前にも、ひと工夫。収穫したレンコンに、はけで泥を塗ってから箱詰めをする。
「ぼくらは〝お化粧〟と呼んでいます(笑)。人も肌の潤いを保つために化粧をしますよね。あれと同じです。レンコンに泥を塗ることで、乾燥を防ぐことができ、鮮度も保つことができます」
 見た目だけでなく、味で勝負していく。それが、生産者に受け継がれてきた矜持でもある。

 そんな白石町でレンコン栽培が始まったのは、大正十一年のこと。「水はけが悪い土地でも育てられる作物」として導入され、やがて米、タマネギ、ダイズと並ぶ、町の特産品に育った。
 そうした多品目の圃場が隣り合って混在しているのも、白石町ならではの特色だと、小野さんは話す。
「ここは恵まれていて、米の隣でレンコンが作れるし、その隣でタマネギを作ることもできるんですよ。そんなことができる理由は、三つあると思います」
 一つめは、平野の至るところにクリーク(用水路)が流れていること。二つめが、圃場整備がしっかりとされていて、どの圃場にも水を引きやすく、抜きやすい設備が整っていることだ。
 そして三つめが、漏水防止パネルを活用していること。レンコン田の周囲を掘り、プラスチック製のパネルを埋め込むことによって、周囲への漏水を防いでいる。ただし、パネルは破損することもある。そこで生産者は、水が漏れていないか毎日、圃場を見回っているという。

宝探しみたいで楽しくもある

 レンコン栽培は、三月に始まる。自家製の種レンコンを手作業で泥の中に定植。収穫は七月下旬から始まり、翌年の四月いっぱいまで続く。
 収穫方法は「水掘り」だ。ホースから噴射される水で泥を吹き飛ばしながら、手でレンコンを探り、掘り取る。ひざまで泥の中に沈み込むため、歩くだけで重労働。しかも夏は炎天下で、冬は氷が張ったなかで、一日中レンコンを収穫し続ける。
「夏は、はいている胴長の中が汗でびっしょり。冬は寒さで耳が痛くなりますね。でも、宝探しみたいで楽しくもありますよ」
 レンコンは、収穫するまで目に見えない。そこが最大の難しさだと、小野さんは言う。葉の状態を見て、地下のレンコンの状態を想像しながら肥培管理を重ねていく。
「だからこそ、掘ってみて、大きいレンコンがとれたときは、おもしろかねぇ」
 楽しそうに話すのは、大ベテランの生産者であり、義父の小野秋實さん(75)。日に焼けた顔をほころばせる。

 しかし近年は、課題も増えてきた。カモによる食害、温暖化による品質低下、包装資材の高騰など。そこで部会では、課題ごとに各4~5人で研究する「しろいしレンコン研究会」を立ち上げた。
「カモ対策、販売対策、栽培研究などチームは七つあります。少人数でやるメリットは、チャレンジしやすいこと。そこでうまくいけば、全体に展開できますからね」
 小野さんは、課題解決に期待を寄せる。

「これからの季節は、レンコンがますますおいしくなります。全国の産地ががんばってレンコンを作っているので、ぜひ、いろんな産地のレンコンのおいしさを食べ比べてみてほしいです」
 そう話す小野さんに、お勧め料理を聞いてみた。
「いちばん好きなのは〝おでん〟ですね。冬のレンコンならではのホクホク感が楽しめますよ」

文=茂島信一 写真=下曽山弓子 写真提供=JAさが

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