地域にエール!

花の生産者と“都市農業”の魅力を発信

  • 神奈川県 JAセレサ川崎(神奈川県川崎市)
  • 2025年4月

「全国都市緑化かわさきフェア」に協賛!

花の生産者と“都市農業”の魅力を発信

緑地と都市部が混在するJA管内。
緑化フェアを好機に川崎市の農業を発信して農業振興にもつなげています。

カテゴリ

 高さ三メートルの壁一面に草花が育つアート作品「垂直花壇」。花と野菜が共生する「農と自然のガーデン」や、雨水を地下へ浸透させて洪水から街を守る仕組みの「野花のレインガーデン」など。 
 驚くような都市緑化のアイデアと、花々の景観で人気を呼んでいるのが、第四十一回 「全国都市緑化かわさきフェア」(以下、緑化フェア)です。令和六年十~十一月の秋と、七年三~四月の春に川崎市の三会場を中心に開催されます。
 大正十三年に誕生した神奈川県川崎市は、市制百周年記念事業の一環として緑化フェアを開催。JAセレサ川崎は最上位のプラチナパートナーとして協賛しています。
 市内の花卉生産者による開会式での生け花展示のほか、七万一千ポットの花苗の出荷などで協力。とくに、事前周知イベントのJR川崎駅での大きな生け花の展示は、注目を集めました。

 JAセレサ川崎代表理事組合長の梶稔さんは、この機会を市の農業の取り組みを発信するチャンスと考えた、と話します。
「川崎市というと、最近ではタワーマンションが立ち並ぶ都会的なイメージが強いのですが、じつは緑地と都市部が混在するエリアです。北部には里山風景が残り、農業も盛ん。多摩川沿いには園地が点在し、『多摩川梨』はブランド果物になっています。今回の緑化フェアをきっかけに、川崎の農業の魅力を多くの方に伝え、農業振興につなげたいとの思いで協賛しました」

江戸時代から続く花卉の産地

 川崎市では、古くから花卉が生産されてきました。なかでも有名なのが、桃の節句に出荷されるハナモモ。宮前区馬絹地区を中心に、江戸時代から伝統的に続いています。
 JAセレサ川崎花卉部に所属する六十四人がハナモモ、桜などの枝物、小菊、ケイトウなどの切り花、さらにはパンジー、シクラメンなど幅広い花卉類を、年間を通して栽培し出荷しています。
 宮前区でパンジーとビオラを中心に、花苗を生産しているのが「秋山フラワー」の秋山智男さん(61)です。七棟のハウスで年間二十万ポットを出荷しています。緑化フェアでは、春開催のために育てた二万ポットを、令和七年三月に出荷します。

「以前はメロンを中心に生産していました。昭和五十八年ごろに、花卉栽培をしていた知人の勧めでパンジーの栽培を開始しました。当時は園芸ブームも影響して、収益性の高さから花卉生産に転換しました」
 花卉は品種がとても多く、ビオラだけでも百種類以上の品種を育てている秋山さん。品種選びの基準は栽培のしやすさと、多くの人に好まれる色みだそう。
 海外では、はっきりとした鮮やかな色や、シックな色が好まれる傾向。ですが日本では、淡く微妙な色合いや、明るい花色が好まれると秋山さんは感じています。緑化フェアには、人気の高そうなえりすぐりの花苗を出荷する予定です。


 市の花卉農業の最大の特徴は「生産者の技術力によるクオリティーの高さ」と、梶組合長は自信を見せます。例年、東京都で開催されている国内最大規模の花のイベント「関東東海花の展覧会」では、枝物をはじめポットや鉢物などさまざまな花卉類で多数受賞しています。生産者の栽培技術は優秀であり、産地をけん引しています。
 梶組合長は言います。
「川崎市の農業は、基本的に〝都市農業〟です。緑化フェアの主会場の富士見公園のようにビルとビルの谷間や、住宅街にポツンと残された農地もあります。都市農業は近隣住民への配慮など課題も多いのですが、川崎の農業を守るため、JAセレサ川崎では援農ボランティアの育成など、さまざまな面から生産者のみなさんと共に、取り組みを進めていきます」
 都市の景観と、豊かな緑の農地が混在する川崎市。緑化フェアが〝都市農業〟の魅力を発信する機会にもなりそうです。

文=加藤恭子 写真=加藤熊三 写真提供=JAセレサ川崎

ふれあいJA広場・
ローカルホッとナビ

本サイトは、全国47都道府県のJAやJA女性組織の活動をご紹介する「ふれあいJA広場」のWEB限定記事と、月刊誌『家の光』に掲載している「ローカルホッとナビ」の過去記事が閲覧できるサイトです。
皆さまのこれからの活動の参考にぜひご活用ください。

2024年3月までの「ふれあいJA広場」記事は、旧ふれあいJA広場をご覧ください。