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クルミ入り押しずし

  • 富山県 JAくろべ女性部(富山県黒部市)
  • 2025年6月

海の幸と山の恵みをたっぷり詰めた

クルミ入り押しずし

ハレの席に欠かせない富山県東部の郷土食です。
食農教育にも力を注ぐ女性部が次世代につなぎます。

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 北アルプスの豊かな水が田畑を潤す富山県東部の新川地域(黒部市、魚津市、入善町など)。この地域に受け継がれてきた郷土の味が「押しずし」です。
 焼いたサバをほぐし、刻んだクルミを加えて、焼きのりでくるりと巻いた「クルミ入り押しずし」は、昔から祝いの席に欠かせないものでした。
「結婚式や新築祝い、祭りや収穫祭には、かならず作っていました。押しずしをこしらえる祖母を、よく手伝ったものです」
 そう話すのは、JAくろべ女性部部長の髙本一惠さんです。子どもの頃は、酢飯が苦手だったそうですが、今では、押しずしが大好物になったと笑います。

「この地域は富山湾でとれるサバをよく食べます。また山間地にはクルミの木が多く、どちらも郷土の味。黒部の人はクルミのことを〝クロベ〟って呼ぶの。クルミ入りは珍しいと言われますが、わたしたちにはなじみの味ね」
 さらに伝統の押しずしを基に、女性部で開発したのが「黒豆入り押しずし」です。煎った黒豆を米と炊いて酢飯にすると、鮮やかなピンク色に。黒豆の香ばしさが、いいアクセントになっています。華やかな紅白の押しずしにして、市のイベントや道の駅で販売することも。子どもから高齢者まで好評です。

家庭の味も伝えていきたい

 JAくろべ女性部では「食は生命、子供は宝」と掲げ、食農教育に力を入れています。地域の小学生を対象に、食のイベントも実施しています。
「みんなで百メートルの〝のり巻き〟作りに挑戦するなど、楽しみながら食農教育をしています。食の喜びやたいせつさを感じてほしいです」
 また二十年ほど関わっているのが、市主催「名水の里くろべ こども自然体験村」で、〝家庭の味〟を子どもに振る舞うこと。令和六年は小学生六十人に弁当を提供。野外の調理実習では、旬の地場産野菜で天ぷらを作りました。
「天ぷらは店で食べるものと思っている子も多くて、とても喜んでもらえました。天ぷらを揚げない家庭も増えているそう。郷土料理だけでなく家庭の味も、子どもや若い親世代へ伝えていきたいと思っています」
 そのために保育園や小学校で、親子参加型の料理イベントをしたいと語る髙本さん。
 郷土が誇る〝押しずし〟のように、夢や目標を女性部という大きな型に詰め込んで、仲間と共に意義のある活動へと押し出していきます。

クルミ入り押しずし」の作り方

材料(20人分)

  • 米  10合
  • サバ  1尾
  • ラッキョウ酢  適宜
  • おろしショウガ  80〜100g
  • クルミ  90g
  • 焼きのり  24枚
  • 〈A〉
    ラッキョウ酢  330mL
    砂糖  50g
    塩  5g

❶サバは焼いて身をほぐし、ラッキョウ酢とおろしショウガを加え、混ぜておく。

❷ 炊きあがった米に混ぜておいた〈A〉を入れて冷ましたら、細かく砕いたクルミを混ぜこむ。

❸ ②を400グラム量り、半分を木型に入れてならす。その上に①をちらす。残りの半分を重ねて押しぶたをのせ、重しをして一晩おく。

❹ 木型から取り外して、四等分に切り分ける。

❺ 焼きのりを巻いて完成。のりの形を工夫し、あればサクラの花の塩漬けで、飾るのもいい。

食べてみられ!

文=森 ゆきこ 写真=前田博史

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