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防災井戸から始まる「安心」づくり

  • 千葉県 JAいちかわ(千葉県市川市)
  • 2025年12月

「もしものとき」こそ頼りになる存在に

防災井戸から始まる「安心」づくり

東日本大震災以降、全国各地の災害支援に力を注いできたJAいちかわ。
令和6年からは、地域の“防災拠点”をめざし全店舗での井戸の設置を進めています。

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「ああ、井戸の水は冷たいね。このJAいちかわが備えた〝防災井戸〟の水は、もしものときに地域や組合員を支える存在になります」
 勢いよくほとばしる井戸水を、大きな手で受け止めながら話すのは、JAいちかわ代表理事組合長の今野博之さんです。
 首都圏にありながら、農業が盛んな千葉県北西部を管内とするJAいちかわ。ナシの生産量日本一を誇る千葉県の主要産地であり、他にニンジン、トマト、カブなどの野菜栽培が盛んです。さらに大手企業や地域の大学などと連携し、農産物のブランド価値を高め、地域を盛り上げる取り組みを続けています。
 そんなJAいちかわでは、令和六年から全店舗に防災井戸を設けるプロジェクトをスタートしました。
 きっかけは、同年一月に発生した能登半島地震です。厳冬のさなか給水車の前で並んで待つ人々の姿に、生活に欠かせない水の重要さを痛感したと、今野組合長は話します。
「近年、多発する激甚災害に備え、地域のためになにができるのかを考えました。飲料水や食料の備蓄も進めていますが、放出すれば尽きてしまいます。水だけでも豊富にあれば、多くの人が安心できるでしょう。そこでJA施設内に井戸の設置を決めました」

正・准組合員に高く評価される

 令和六年秋、本店内に水中式電動ポンプで、深さ四十五メートルから一分間に約十リットルの水をくみ上げられる井戸を掘削しました。
 生活用水全般での利用を想定し、予備電源を確保して長時間停電しても稼働できるようにしています。また複数の蛇口を設けて、待ち時間が短くなる工夫を施しました。
 本店の井戸設置を手始めに、全店舗で土壌および水質検査を実施。生活用水のくみ上げが可能な十一の店舗(選果場、経済センターを含む)で準備を進め、すでに五つの店舗で防災井戸が完成しました。
「災害時に水を求めて並ぶ人には、管内の農産物や備蓄品の配布も検討しています。『この地域にJAがあってよかった』と言ってもらえる環境をつくっていきます」
 防災井戸の取り組みは、JA広報誌や店舗窓口はもとより、組合員の集いなどでも積極的に発信。組合員からは「安心だ」「ありがたい」という声が寄せられています。
「とくに令和四年から始めた〝准組合員拡大運動〟で加入した、八千人を超える新組合員にも高く評価されています。防災井戸によってJAに関心を持っていただく人が増え、新たな力になってくれると信じています」

積み重ねてきた災害支援を力に

 これまでも地震、台風、豪雨と全国各地で発生する災害の被災地に支援の手を差し伸べてきたJAいちかわ。
 その大きなきっかけになったのが平成二十三年の東日本大震災でした。管内の浦安地域で液状化現象が起こり、住民の食料買い占めが発生したときには、いち早く米五トンを浦安市に支援しました。一次被害が落ち着いたあとは、浦安を元気にするイベントを継続して主催。東北の復興支援にも長く関わりました。

 その経験が令和元年に台風一五号や一九号が千葉県を襲ったさいに生かせたと、今野組合長は言います。
「備蓄品や車両などの物資支援や、人的なサポートを即時に手配できました。また台風によって一部が傷んだナシや農産物の販売も積極的に支援しました」
 JAの支援活動を知った企業からも、協力の声が寄せられ、傷ついたナシを活用した菓子やドリンクが製造されました。それをきっかけに、規格外のナシを使った多彩な商品が誕生しました。

 また女性部にも協力を仰ぎ、もしものときを想定した防災訓練や防災料理教室を定期的に開催しています。
 今後は〝地域全体の防災推進〟へとつなげていきたいと、今野組合長。
「井戸の設置がきっかけになり、マンホールトイレ設置の検討も始めています。それらをマンションやアパートを経営する組合員や、新たに集合住宅を計画する組合員にも広げていきたい。組合員と共に地域を守る取り組みへと育てていきたいですね」

文=森 ゆきこ 写真=研壁秀俊 写真提供=JAいちかわ

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