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遊休農地解消! この手があった“農地マッチング”

  • 大阪府 JA大阪中河内(大阪府八尾市、柏原市、 松原市、東大阪市)
  • 2025年7月

遊休農地解消! この手があった“農地マッチング”

遊休農地の貸し手と借り手をつないで、地域の農業を活性化。
規模拡大をめざす生産者、新規就農者が注目する、そのシステムとは?

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 担い手不足が叫ばれるなか、JA大阪中河内管内では、若手の新規就農者が増えています。理由の一つは、平成二十九年からJAが始めた〝農地マッチング〟の制度です。
「JAが農地の貸し手と、借り手を仲介する取り組みです。遊休農地の解消が大きな目的で、当初わたしたちが借り手としてイメージしていたのは、既存の生産者です。しかし府内では珍しい制度のため、むしろ新規就農者の制度利用が多いんです」
 そう話すのは、JA営農経済部・農地保全担当主任の網谷友希さんです。
 高齢化のため、また相続後に継げないなどで耕作が困難な貸し手と、営農の規模拡大や新規就農で農地を希望する借り手をつなぎ、安心して農地貸借ができるように調査から手続きまでJAがサポート。貸し手と借り手の双方にとってメリットがある、と網谷さんは話します。
「貸し手は、圃場管理の必要がなくなり、相続税猶予を受けたまま農地を貸し出せます。借り手には、希望条件を優先して仲介するため、農地を探す手間やむだがない。もちろん仲介手数料は無料です」

九年で農地は四十三倍に拡大

 八年前に就農をした西山勝博さん(53)は、農地マッチングで借りた圃場で「八尾若ごぼう」「八尾えだまめ」を中心に栽培。農産物は市場のほか、一部をJA産直施設に出荷しています。
「今は五十アールほど借りています。知人に専業農家が多く、興味が湧いて就農しました。JAの取り組みがあって助かりました」
 また、貸し手の磯山洋子さん(70)・節子さん(69)姉妹にとっても、この制度はありがたいものでした。
「代々の土地ですが、家族では管理が難しい。西山さんに活用していただき、親が農業をしていた頃の景観に戻ってうれしい。お野菜をいただけるのもありがたいわ(笑)」

 九年めを迎えた農地マッチングの制度。貸し出し条件や契約期間などは、相談をして決めていきます。契約後も貸し手が安心できるよう、JAでは圃場の視察を欠かさないようにしています。
 初年度は貸し手の登録数は延べ四戸、農地は約六十アールでした。しかしJAの普及活動が実を結び、現在では貸し手が延べ二百三十一戸、農地は約二千五百六十アール。借り手も延べ百五十四戸と、着実に拡大しています。
 令和六年一月、大阪市で開催された「大会決議・自己改革実践トップフォーラム」では、農地マッチング制度の事例を発表。興味を持ったJAからの視察依頼も多くなった、と網谷さん。
「貸し手と借り手との条件調整は、たいへんなことも多いです。でも『ここで農業ができてよかった』『手に余る農地問題を解決できた』との言葉がうれしい。管内の農業が活性化していることが、やりがいになっています」
 JA大阪中河内は、これからも、地域農業を支えていきます。

文=森 ゆきこ 写真=前田博史

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