地域にエール!

自立支援型で“できる”を増やします

  • 静岡県 JA遠州夢咲 JAデイサービス夢咲・大城(静岡県菊川市、掛川市)
  • 2025年5月

JAから高齢者への恩返し!

自立支援型で“できる”を増やします

地域の高齢者に寄り添ったデイサービスを運営するJA遠州夢咲。
新たに始めた取り組みが全国から注目されています。

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 朝九時過ぎ、JA遠州夢咲が運営する「JAデイサービス夢咲」では、来所する利用者でにぎわっています。
 利用者の多くは、要介護認定を受けている七十代半ば以上の後期高齢者です。しかし施設に入ると、利用者は積極的に動き始めます。自分でゆっくり靴を脱ぎ、上履きに履き替えると看護師のもとへ。自ら体温や血圧を測定して用紙に記入します。

 さらに「今日の活動内容」を利用者自身が決めていきます。入浴、運動、散歩はもちろん、調理補助や配膳、洗濯物たたみの家事動作、畑の農作業など、活動内容を記したカードを選んでボードに貼ります。そうして決めた一日を過ごせるように、担当する職員がサポートしていきます。
「二か所のデイサービス施設があって〝自立支援型〟の介護をしています。活動は、すべてが生活能力向上のリハビリテーションです。こちらもサポートしますが、過剰なお世話はしません」
 そう話すのは、JA福祉センター長の渡邊康弘さん。

要介護から要支援へ改善

 平成十三年、JA遠州夢咲ではデイサービスを開始。職員が主となり利用者を介護する〝お世話型〟施設でした。しかし、管内にデイサービスが増えて利用者が減少。二十四年の介護保険制度の改正もあり、自立支援型の導入を検討します。そこで職員は、新潟県の自立支援型施設へと研修に出向きます。
「お世話型と違い、利用者の〝できる〟を増やす自立支援型のよさを実感しました。手厚い介護では利用者が休憩ばかりです。元気に活動する施設にしたいと思いました」
 当時を振り返る「JAデイサービス大城」施設長の神谷直美さん。「夢咲」施設長の村田公美さんと共に自立支援型施設をめざし、職員の意識改革や、利用者と家族への説明などをしました。

 また、作業療法士で副センター長の尾崎勝彦さんは、利用者の日常生活を踏まえ、機能訓練の計画づくり、環境の見直しにも取り組みます。二年の準備期間を経て、新たに自立支援型施設として令和三年一月、本格始動します。
「でも当初は『世話をしてくれない』と不満の声も。今では『要介護から要支援へ改善した』『訓練で車いすから杖で歩けるように』と喜びの声に変わりました」
 渡邊センター長は胸を張ります。利用者が元気になるデイサービス施設として、全国の福祉施設から注目の的になり、視察や講演の依頼も多くなりました。
 住み慣れた家で、元気で長く生活できるように支援していく。それが「今まで地域に貢献してきた高齢者への恩返し」と、JA遠州夢咲は取り組んでいます。

文=森 ゆきこ 写真=前田博史

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