大地のおくりもの

カリフラワー

  • 和歌山県 JA埼玉ひびきの南部カリフラワー部会(埼玉県本庄市)
  • 2026年3月

純白のものだけがA等級に選抜される

カリフラワー

原産地は地中海東部の沿岸ですが、この地の乾燥した冬の環境が栽培に向いていました。
土づくりにも力を入れ、おいしさを引き出しています。

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 雲一つない青空の下、冷たい風がビュッと吹きつける。群馬県の冬の風物詩として知られる「上州のからっ風」は、シベリア方面からやってくる冷たい空気が、乾いた風となって赤城連峰から吹き降ろす気象現象。別名「赤城おろし」とも呼ばれ、その影響は埼玉県の北西部に位置する本庄市周辺にも及ぶ。
 そんな厳しい寒さの中で、最盛期を迎えるのがカリフラワー。外葉を一枚めくると、純白の花蕾が見えた。JA埼玉ひびきの南部カリフラワー部会部会長の荻野浩さん(67)は、この冷たく乾いた空気が、カリフラワー栽培に適していると話す。
「カリフラワーの原産地は、地中海東部の沿岸です。雨の少ないカラッとした乾燥ぎみの環境で生まれた野菜ですから、湿度が高い環境は苦手。この地域の冬の環境が向いていると思います」
 カリフラワーの楕円形に近い葉は、わずかな水分でも取り入れ、根に供給できるようになっている。これは原産地の気候に適応した姿だといい「ほら、この葉がまるで雨どいみたいな形でしょう」と、荻野さんはその葉を指さして説明する。

 カリフラワーにとって過湿は致命的だ。一方、近年は水不足も深刻な問題で、とくに八月、苗の定植後に一週間~十日ほどの猛暑日が続くと、活着できずに枯れてしまうものもある。荻野さんは畑に灌水チューブを整備し、干ばつの時期を乗りきっている。
 土づくりには、近隣の畜産農家から仕入れる豚ぷん堆肥、牛ふん堆肥を使用。うまく発酵させることで、甘い香りがするという。微量要素として鋤き込むカキ殻石灰も、肥沃な土壌を好むカリフラワーのおいしさを引き出してくれる、と荻野さんは話す。
 出荷開始は、十月。早生品種の『ホワイトパラソル』から始まり、中生品種の『雪まつり』『福月』、とくに寒さに強い晩生品種の『磯月』へと、品種を切り替えながら一月末(秋冬まきは五月末)まで出荷を続ける。
 白カリフラワーのほかに、特徴的な形でひときわ目を引く『ロマネスコ』、オレンジ色の『オレンジブーケ』など、珍しい品種も出荷している。

生産者が助け合い楽しめる部会を

 カリフラワーは「白さが命」と荻野さん。少しでも黄ばみがあると商品価値が下がってしまうといい、見とれるような純白のものだけが高品質のA等級に選抜される。
 荻野さんは農家の二代目。祖父の代には織物業を営んでいたが、終戦後、化学繊維の隆盛に押されて事業をたたんだ。そこで父が始めたのがナスの半促成栽培。ハウス栽培により時期外れのナスを高値で出荷し、農地を一ヘクタール以上に拡大した。
 二十四歳で父を手伝いながら就農した荻野さん。農閑期にはいろいろなアルバイトを経験した。溶接の技術を習得したこともあり、育苗ハウスの建設や農機具の修理など「自分でできることは全部自分でやるよ」と豪快に笑う。
 二十七歳で始めたカリフラワー栽培は、当時は珍しい野菜だったこともあり、一個六百〜七百円といった高値で取り引きされたと振り返る。
「昭和六十年代の基盤整備によって、大幅に作業効率がよくなることがわかりました。『これならもっと農業をやれる』と確信を得て、規模拡大の路線にかじを切りました」
 荻野さんは、経営規模を拡大。現在では、延べ九十ヘクタールの農地を管理し、水稲とムギを中心に、キャベツやブロッコリーも作っている。カリフラワーは八十アールで栽培している。

 また、荻野さんは市場などで出会った見ず知らずの生産者にも、気さくに話しかける。顔見知りになることで、栽培に関する情報を教えてもらうことが増えていった。
 たとえば、キャベツやカリフラワーの栽培で悩まされたのが根朽病。苗を植え、活着して半月ほどすると、茎が割れてそこから糸状菌が入り込んで、次々と倒れてしまうという恐ろしい症状を目のあたりにした。
「いったいどうすればいいのだろう」。切実な事態に悩んでいたとき、助けてくれたのが仲よくなった生産者。教えてもらったとおりの方法で栽培すると、うまく育った。荻野さんはこう続ける。
「やっぱり生産者同士のつながりがたいせつ。だれかが困っていたら自分も作業を手伝うし、知っていることはどんどん教えます。ここまで規模を拡大できたのも、人とのつながりのおかげです」
 今後は若い生産者と協力。ベテラン生産者には健康を守りながら、無理をせず、長く出荷を続けてもらいたいと話す荻野さん。生産者が助け合い、楽しめる部会を、次世代につなげたいと明るく笑う。

文=加藤恭子 写真=研壁秀俊

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