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あんこ寿司

  • 山口県 JA山口県岩国女性部広瀬支部(山口県岩国市)
  • 2026年4月

山里の恵みが入っています

あんこ寿司

おいしい具材を「あん」のようにすし飯で包んでいるので「あんこ寿司」。
庶民の知恵から生まれたごちそうです。

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 岩国市の最北部。中国山地の山々に囲まれた、山代地域に伝わる郷土料理が「あんこ寿司」です。「あんこ」といっても、アズキを使うわけではありません。
 江戸時代、この地を統治する殿様は、年貢の取り立てが厳しかったそう。それでも農民たちは、祭りにはなけなしの米を使って、寿司を作っていました。少ない米でも大きな寿司に見えるよう、あんこのように具材を中に詰めていたことから「あんこ寿司」と呼ばれるようになったと言われています。

「だから、かさ増しよ。具が入っちょるほうが、おいしいしね」
「庶民の知恵なの(笑)」
 そう話すのは、JA山口県岩国女性部広瀬支部のみなさんです。
 一見、ふつうの押し寿司ですが、割ってみると、切り干し大根、干しシイタケ、ゴボウといった山里の恵みが入っています。

「一〇〇年フード」に認定される

 成形には「寿司箱」と呼ばれる木製の型を使います。広瀬支部がある岩国市錦町では、ほぼすべての家庭が木型を持っているのだとか。この日も愛用品を各人が持ち寄ってくれました。
 よく見ると微妙に形が違うのは、地域の木工所などでオーダーメードしているから。林業が盛んな山里ならではの文化でもあります。
 あんこ寿司の飾り方も、家庭によってさまざまです。

「卵の代わりに、ユズの皮をのせてた」
「かまぼこをのせてたわ」
「うちは、しめサバ。海のものが、ごちそうだったの」
 昔は、地域の祭りや正月、棟上げ、運動会、結婚式など、祝い事でしか食べられなかったそうで、思い出話にも花が咲きます。
「昔はごちそうだったね」
「お祭りのときは、これを食べて、神楽を舞ってた」
「母が、わたしの好きなウズラマメを炊いて、入れてくれてたんよ」
 しかし手間がかかるため、最近は作る家庭が少なくなっていました。そこへうれしいニュースが届きます。令和三年、文化庁の「一〇〇年フード」に「あんこ寿司」が認定されたのです。それを記念し、広瀬支部でも料理教室を開催。部員二十四人で、あんこ寿司を作りました。
「あんこ寿司は、ここでしか味わえない、ふるさとの味。これからも次の世代に、引き継いでいきたいと思います」
 支部長の渡辺えみ子さん(77)が、仲間を見ながら笑顔で話してくれました。

「あんこ寿司」の作り方

材料(20個分)

〈すし飯〉

  • 米 5合
  • コンブ 適量
  • 酢 90 mL
  • 砂糖 90〜100g
  • 塩 10〜20g

あんこ(具)〉

  • 切り干し大根(乾燥)   100g
  • 干しシイタケ(水でもどす)   2枚
  • ゴボウ   60g
  • ニンジン   70g
  • 油揚げ   1/2枚
  • 砂糖   大さじ1
  • 塩・しょうゆ・酒・みりん ・和風だしの   各適量
  • 油   適量

※飾りは錦糸卵、パセリ、黒ゴマ、でんぶなど。

❶ コンブを入れ、ふつうの水かげんで米を炊く。酢、砂糖、塩を混ぜて合わせ酢を作って混ぜ、すし飯を作る。具の材料の切り干し大根は、水でもどして水けを切る。

❷ 具の材料をみじん切り(ゴボウは小さめのささがき)にする。油で炒め、調味料を加えて、ときどき混ぜながら煮つめていく。

❸ すし飯を手のひらにのせ、②の具を中央に置き、おむすびのように丸めて木型に入れる。

❹ 木型で押し固めて、形を整える。錦糸卵やパセリなどで飾り、仕上げる。

食卓が華やかに
なりますよ

文=茂島信一 写真=前田博史

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