地域にエール!
農地マッチングで地域を活性化
- 神奈川県 JAよこすか葉山(神奈川県横須賀市)
- 2026年5月

行政、農業委員会、JAが連携協定
農地マッチングで地域を活性化
農地の貸し手と、借り手をつなぐ「農地マッチング」。
情報収集と農地マップで成立件数はうなぎのぼり。地域の農業を盛り上げています。
農家の高齢化や後継者不足などから「使われない農地」が増えている昨今。代々受け継いできた農地をどう維持管理していけばいいのか、悩む人も増えています。
一方で「耕作面積を広げたいが、農地の情報が手に入らない」という生産者や、農地を持っていない新規就農の希望者もいます。

JAの紹介ならだいじょうぶ
そこで令和七年三月、横須賀市と市農業委員会、JAよこすか葉山は連携協定を締結。三者が持つ農地や生産者の情報を集約して「農地をだれかに貸したい・売りたい」という農地所有者と、「農地を借りたい・拡大したい」生産者を結びつける「農地マッチング」の仕組みをつくりました。
同年四月、市内の芦名地区で新規就農した吉江博巳さん(54)も、農地マッチングで農地を借りた一人です。現在は七十アールの農地を耕作しており、冬春はキャベツとダイコン、夏はカボチャを中心に栽培しています。

「JAよこすか葉山営農支援課の鈴木大三さんに相談したところ、芦名の農地を紹介していただきました。最初にここに来て驚いたのは、畑のきれいさです。長年、みなさんがたいせつに育ててこられた畑だということが、すぐにわかりました」

吉江さんに農地を貸している農地所有者の一人は、髙橋照子さん(87)です。かつて、JAの青壮年部の委員長を長く務め、栽培名人としても知られた夫の孝治さんが亡くなり、夫妻で守ってきた農地を吉江さんに託すことに決めました。
「吉江さんが育てるダイコンはすばらしくて、まるで夫がいるみたいです。いい人に畑を使ってもらえて、ほんとうによかったと思っています。親戚にもJAの紹介ならだいじょうぶ、と安心してもらえました」

耕作放棄地を農地マップに表示
横須賀市の農地マッチングの成果は目覚ましく、令和七年度の農地の貸し借りの新規成立件数は、七十七件(前年度同時期は五十一件)。令和七年の耕作放棄地の解消面積は、過去五年平均の約五倍に当たる一・七一ヘクタールになりました。
市農業委員会事務局の能仁健一郎さん(43)は、農地を所管する農業委員会と市、日ごろから農家と関わっているJAがそれぞれの情報を集め、市の地図データを活用した「農地マップ」に色分けして表示したことで、一気に農地マッチングが進んだと説明します。

「約三百戸ある市内の生産者への聞き取り調査は、本音や意向を聞き出すため、生産者と信頼関係のあるJAの営農指導員の方々に担当していただきました。これにより、数年内に耕作継続が困難となる可能性が高い、いわば耕作放棄地予備軍の実態も明らかになってきています」
今後も聞き取り調査を継続し、データを集積していくことで、より活用しやすくなると考えている、と能仁さん。情報を共有し、連携して対策を進めることで、耕作面積の減少を食い止め、農業の活性化につなげていきます。
文=加藤恭子 写真=研壁秀俊




