地域にエール!
母ちゃんたちが毎朝作る総菜・弁当
- 佐賀県 JA伊万里 松浦の里「根っこの会」(佐賀県伊万里市)
- 2026年6月

産直施設の“売れ筋”です
母ちゃんたちが毎朝作る総菜・弁当
手間を惜しまず、コツコツと。女性たちが作る素朴な加工品が人気産直施設の看板商品になっています。
長崎自動車道の武雄北方インターチェンジから、伊万里市方面に向かう松浦バイパス(国道四九八号)。トラック運転手や観光客もよく利用する幹線道路沿いに、年間十五万人が訪れる産直施設があります。JA伊万里産地直売所「松浦の里」です。
店内には、特産のキュウリや小ネギ、イチゴ、ナシやブドウ、柑橘類など、旬の新鮮な農産物がずらり。しかし客の目当ては、それだけではありません。

「毎日、よく売れますね。これがあるけん来よっとよ、と話す方もいるほど。うちの店に欠かせない存在です」
店長の山下健さんが、そう認めるのは「根っこの会」が作る総菜と弁当。朝八時、敷地内にある厨房をのぞくと、すでにフル回転で調理が始まっていました。
「このダイコンも、ブロッコリーも、うちの畑からひいて(収穫して)きました。漬け物も自分で作って持ち寄っているとですよ」
と、笑顔で迎えてくれたのは会長の石井末子さん(78)。
昆布やいりこ、かつお節からだしをとり、野菜はていねいに刻みます。ご飯にのせる梅干しも自作。それが守り続けてきた、こだわりです。

客からの声が原動力になる
会員は、JA女性部部員など地域の女性たち。活動が始まったのは、平成十七年のことです。「松浦の里」がオープンするさい、食堂の運営と総菜作りをするメンバーが募集され、発足。「地域にしっかりと根を下ろしたい」という思いから「根っこの会」と名づけられました。
その名のとおり、今では運動会をはじめとする地域行事の弁当や、企業の会議用弁当、民生委員が高齢者に配付する弁当の注文にも対応。地域にとっても、欠かせない存在になっています。

しかし発足当初は資金が乏しく、苦労もしたそうです。建物は昔からの産直施設。それを自分たちで改装し、厨房の設備は中古品でそろえました。時給も当初は二百円に設定。コツコツと利益をためて、借金を返し、必要な備品を買い足してきました。
休みも少なく、年始と産直施設が休む十一月の二日間だけ。一年中、ほぼ毎日、朝五時に集まって、料理を作り続けています。
その原動力は客からの声、と石井さんは言います。
「お客さんから、おいしいと言ってもらえること、必要とされることがうれしい。『赤飯がおばあちゃんの味と同じ味で、感動した!』と、喜ばれたこともありました」
気がつけば、七十代後半の会員が増えたと話すみなさん。
「毎日、たいへんよ(笑)」
「でも体が続くかぎり、この活動を守っていきたい」
今日も夜明け前から、野菜を刻む包丁の小気味よい音が、バイパス沿いの厨房に響いています。

文=茂島信一 写真=馬場敬子





