大地のおくりもの
ふくべ砂丘らっきょう
- 鳥取県 JA鳥取いなば管内 福部らっきょう生産組合(鳥取県鳥取市)
- 2026年9月

真っ白に輝き、歯ざわりのよい
ふくべ砂丘らっきょう
不毛といわれた砂丘地帯でラッキョウ栽培が始まり1世紀以上。
白くておいしいラッキョウは多くの雇用も生み出す地域の宝になりました。

鳥取県鳥取市の福部町は〝ラッキョウのまち〟だ。海辺に広がる砂丘地帯は、右も左もラッキョウ畑。総栽培面積は100ヘクタールに及ぶ。年間出荷量は、町だけで約1300トン。ラッキョウの産地、鳥取県の中でもダントツのスケールだ。
また、町で生産される「ふくべ砂丘らっきょう」は、輝くような色の白さと、シャキシャキとした歯ざわりのよさで知られる。その秘密を、JA鳥取いなば福部支店支店長の今﨑純治さんはこう話す。
「ここの砂丘地帯は乾燥しているうえ、養分もまったくありません。しかし、むだな水分がないからこそ、繊維質が細かい、キュッと引き締まったラッキョウができ、養分がないからこそ、真っ白いラッキョウができるんです」

優れた品質は、熟練の技術にも支えられている。
「よいラッキョウを作るポイントは、植えつけの深さと肥培管理ですね」
と、話すのは「福部らっきょう生産組合長会」会長の横田仁志さん(73)。
「芽出しがいいように、浅めに植えるのがこつ。芽が出た後で、球根が青くなるのを防ぐため、砂を寄せるんです」
植えつけ作業は、1年でもっとも暑い7~9月にかけておこなわれる。表面温度が60度にも達する砂地に、種ラッキョウを1球ずつ植えていく作業は「いちばんたいへん」と、横田さんは話す。
芽が出たら、約20日おきに肥料を与えていく。砂地は保肥力もない。即効性のある肥料を、こまめに与えていくのが基本だ。ただし、肥料を与えすぎると葉ばかりが茂り、〝太り〟が悪くなる。そのあんばいを見極めるために、横田さんは暑い日も寒い日も、砂丘の畑に通い、葉の色を観察しながら、肥料や水の量を調節する。

先人の努力の上に今の成果がある
収穫後は「切り子」たちの出番だ。生産者の家族や近所の人が、ラッキョウを出荷できる形に切りそろえていく。切り子は、横田家だけで25人。町全体では約1000人が働いている。また夏場の植えつけ作業には、多くの「植え子」が活躍。ラッキョウ栽培は、まさに地域を挙げての産業だ。
しかし近年は、高齢化などにより、こうした人手を集めるのが難しくなってきた。それでも、横田さんは前を向く。
「この浜に合うものを先人たちが探し、努力をしてきたその上に、今の成果があります。生産者はみんな感謝していますし、これからもラッキョウ栽培が続いていく体制を、つくっていきたい」

そう話す横田さんの作業場では、97歳になった母の文子さんも、切り子として働いていた。
「今年もこうして切らせてもらっていることがありがたい。元気の秘訣? 毎日食べてるラッキョウのおかげです」
現役最年長の〝切り子さん〟は穏やかに笑って、また次のラッキョウを手に取った。

文=茂島信一 写真=前田博史






