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小平糧うどん
- 東京都 JA東京むさし女性部(東京都小平市)
- 2026年9月

振る舞いのあと 締めで出される
小平糧うどん
地場の小麦で打った「小平糧うどん」。冷たい麺を、温かい汁につけて食べます。
季節の野菜や油揚げも添えられてハレの日には欠かせない郷土の逸品です。

東京都小平市は、水がすぐに地下にしみこんでなくなってしまうことから、かつて〝逃げ水の里〟と呼ばれた土地。江戸時代初期までは荒涼とした風景が広がっていましたが、多摩川の水が武蔵野台地に引かれると、かやぶき屋根の集落が形成され、豊かな農村地帯ができあがりました。
それでも稲作は難しかったため、米の代わりに栽培されたのが小麦。その地場の小麦粉で打った「小平糧うどん」は、つるつるとしたこしのある冷たい麺を、だしの利いた温かい汁につけて食べるもので、畑でとれる季節の野菜や油揚げが〝糧〟として添えられていました。
とくにハレの日にはこのうどんが欠かせないものだったと、JA東京むさし小平地区女性部部長の井上昭子さんは話します。
「婚礼や節句などで人が家に集まると、ごちそうを振る舞ったあと、締めにうどんを出すのが習慣でした。昔は〝うどんを打てないとお嫁にいけない〟と言われたほど、女性のたいせつな仕事でした」

滋味豊かな味わいを次世代につなげる
小平糧うどんの特徴の一つが、煮干しでだしをとった濃厚な汁。はらわたも頭も取らない、大量の煮干しを水から鍋に入れて、沸騰したら弱火で1時間ほど、ふつふつとゆっくりと煮て、しょうゆ、みりん、塩で濃いめのつゆに仕上げます。だしの風味が、野菜と油揚げを添えたうどんによく合います。世田谷区から嫁いできた井上さんは当初、真っ黒な汁に驚いて食べられなかったと振り返ります。
「うどんを、そばのように色の濃い汁につけて食べたことがなかったので、まず見た目でびっくり。最初はのどを通りませんでしたが、おいしさにはまって、今では〝これでなきゃ〟と思います」

同地区女性部では年2回、市の広報誌で一般の参加者を募って小平糧うどんの講習会を開催。そのほか女性部のメンバーで集まり、講習会を開催することもあります。三鷹地区女性部部長で本部部長の坂本晴代さんは、「郷土料理の伝承は、地場産の農産物があってこそ」と話します。
「地域に根ざした日本の食文化を守り、次世代に継承していくためには〝国消国産〟が不可欠です。武蔵野台地に継承される郷土のうどんと歴史を伝える活動は、大きな役割の一つだと考えています」
ゆくゆくは「女性部に手打ちうどん研究会をつくりたい」と、展望を語る井上さん。受け継がれてきた滋味豊かな味わいを、次世代につなげます。



「小平糧うどん」の作り方

材料(4〜5人分)
- 小麦粉(うどん用、または中力粉) 500g
- 塩(夏は多め、冬は少なめ) 20〜25g
- 水(夏は少なめ、冬は多め) 190〜220 mL
- コーンスターチ(打ち粉) 適量
【つけ汁】
鍋に水3Lに煮干し200~240gを入れて中火にかけ、沸騰寸前で弱火にして40~60分煮出す。しょうゆ、みりん、塩で好みの味に調整する。
【糧】
コマツナ、インゲンは塩ゆで、ナスはレンジで加熱し、油揚げは湯通しして、食べやすい大きさに切る。細ネギは刻む。

❶ ボウルに小麦粉を入れ、塩を溶かした水を2~3回に分けて加え、混ぜる。粒状になったら、こねて耳たぶより少しかたいくらいにまとめる。

❷ 厚手のビニール袋に入れ、かかとで踏む。裏返し、方向も変えて約50回(踏めば踏むほどこしが出る)。袋から出して再度、手でこねて一つの塊にする。ビニール袋に入れ、30分ほどねかせる(冬は1~2時間)。

❸ のし板に置いて麺棒で伸ばす。生地をなるべく四角く、厚さ2mmにしていく。

❹ 表裏にコーンスターチをふり、切りやすい大きさに折りたたむ。包丁で5mm幅に押し切りする。切れ端も有効活用。沸騰した湯で8~10分ゆで、流水で冷やす。皿に盛って糧を添え、温かい汁につけて食べる。

どこか
懐かしい味が
するわよ
文=加藤恭子 写真=福地大亮





